📡 QAM(Quadrature Amplitude Modulation)
直交振幅変調の完全ガイド

🎯 この記事で学べること:

🔍 1. QAMとは何か?

📚 基本定義

QAM(Quadrature Amplitude Modulation)は、振幅位相の両方を変化させてデジタル情報を送信する変調方式です。

「Quadrature(直交)」とは、90度位相が異なる2つの搬送波を使うことを意味します。これにより、同じ周波数帯域でより多くの情報を送ることができます。

🤔 なぜQAMが重要なのか?

📐 2. 「直交」の原理を理解しよう

🔄 直交とは?

数学的に「直交」とは、2つのベクトルの内積が0になることです。通信では、互いに干渉しない2つの信号を意味します。

📊 直交搬送波の数式

I成分(In-phase): cos(2πfct)

Q成分(Quadrature): sin(2πfct)

この2つは90度位相が異なり、互いに直交している

🎯 コンスタレーション図で理解

横軸:I成分、縦軸:Q成分
各点が1つのシンボル(データの組み合わせ)を表します

⚙️ 3. QAMの動作原理

🔧 変調プロセス

  1. データ分割: 入力データをI成分とQ成分に分ける
  2. 振幅設定: 各成分に対応する振幅を決定
  3. 搬送波変調: I成分でcos波、Q成分でsin波を変調
  4. 合成: 2つの変調波を足し合わせて送信

📈 QAM信号の数式

s(t) = I(t) × cos(2πfct) + Q(t) × sin(2πfct)

I(t):I成分の振幅、Q(t):Q成分の振幅、fc:搬送波周波数

🔄 復調プロセス

  1. 受信: QAM信号を受信
  2. 直交検波: cos波とsin波で同期検波
  3. 成分分離: I成分とQ成分を分離
  4. 判定: 最も近いコンスタレーション点を特定
  5. データ復元: 元のデジタルデータに変換

📊 4. QAMの種類と特徴

4-QAM(QPSK)

🔢 データ効率: 2 bit/symbol

📍 信号点数: 4点

🎯 特徴: シンプル、ノイズに強い

📱 用途: GPS、衛星通信

16-QAM

🔢 データ効率: 4 bit/symbol

📍 信号点数: 16点

🎯 特徴: 効率とノイズ耐性のバランス

📱 用途: WiFi、デジタルTV

QAM方式 信号点数 bit/symbol 最小距離 主な用途
4-QAM (QPSK) 4 2 衛星通信、GPS
16-QAM 16 4 WiFi、デジタルTV
64-QAM 64 6 ケーブルTV、4G
256-QAM 256 8 極小 5G、高速データ通信

⚠️ 重要なトレードオフ

高次QAMの特徴:

🎨 5. コンスタレーション図の詳細

🖱️ インタラクティブなコンスタレーション図

📖 コンスタレーション図の読み方

🔧 6. 実装上の重要な技術

🎯 シンボル同期

受信側で正確なタイミングでサンプリングするための技術

🔄 搬送波回復

送信側と受信側の搬送波周波数・位相を合わせる技術

📶 適応等化

伝送路の歪みを補正する技術

📱 7. 実際の応用例

📺 デジタル放送

  • 地上デジタル放送:64-QAM
  • BS/CS放送:8PSK, 16APSK
  • ケーブルTV:256-QAM

📶 無線通信

  • WiFi:16/64/256-QAM
  • 4G LTE:16/64-QAM
  • 5G:最大1024-QAM

💡 8. よくある質問と誤解

❓ Q: なぜ「直交」が重要なの?

A: 直交する2つの信号は互いに干渉しないため、同じ周波数帯域で独立して情報を送れます。これにより周波数利用効率が向上します。

❓ Q: 高次QAMほど良いの?

A: 一概には言えません。高次QAMはデータ効率は良いですが、ノイズに弱くなります。通信環境に応じて適切な次数を選ぶことが重要です。

❓ Q: PSKとQAMの違いは?

A: PSKは位相のみを変化させますが、QAMは振幅と位相の両方を変化させます。QAMの方が一般的により高いデータ効率を実現できます。

📝 9. 学習のポイント

🎯 理解すべき重要概念

  1. 直交性: I/Q成分が独立している理由
  2. コンスタレーション: 信号点配置の意味
  3. ビット効率: log₂(M) bit/symbol の計算
  4. 誤り率: 信号点間距離との関係
  5. 実装技術: 同期・等化の必要性

🧠 自分で考える演習問題

📊 問題1: データレート計算

16-QAMでシンボルレート1kHzの時、1秒間に送信できるビット数は?

💡 ヒント(クリックで表示)

16-QAMでは1シンボルで何ビット送れるかな?log₂(16) = ?

🎯 問題2: コンスタレーション設計

下のキャンバスで自分だけの8-QAMを設計してみよう!

🔧 問題3: ノイズ耐性クイズ

SNRが悪い環境で使うべきQAM方式は?

🔬 実験シミュレーター

📡 QAM送信シミュレーター

データを入力して、実際にQAM信号がどう作られるか見てみよう!

🤔 考察問題

💭 深く考えてみよう

質問1: なぜQAMでは円形ではなく正方形の配置が一般的なの?

💭 応用問題

質問2: 移動体通信(車載通信)でQAMを使う時の課題は?

🚀 10. さらなる学習へ

📚 次のステップ

🎓 まとめ: QAMは現代の無線通信の基盤技術です。直交性という数学的概念を活用して効率的なデータ伝送を実現している点が素晴らしいですね!