クロック信号の1周期の時間で、最大動作周波数の逆数。全てのタイミング制約の基準となる重要なパラメータです。
同一クロック信号が異なるフリップフロップに到達する時間差
クロック信号の理想的な位置からの時間的ばらつき。ランダムジッタとシステマティックジッタに分類され、PLL回路の性能に大きく依存します。
定義:クロックエッジの前にデータが安定している必要がある最小時間
典型値:
定義:クロックエッジの後もデータを保持する必要がある最小時間
典型値:
定義:クロックエッジから出力が変化するまでの時間
構成要素:
典型値:
定義:入力変化から出力変化までの時間
分類:
影響要因:
定義:入力変化から出力が変化し始めるまでの最小時間
定義:回路内で最も長い遅延パス
セットアップマージン:
ホールドマージン:
メタステーブル状態から安定状態への遷移時間。確率的に決まる(指数分布に従う)
τ:メタステーブル減衰時定数
設計目標:通常100年以上
遅延時間 | 記号 | 定義 | 主な用途 | 典型値 |
---|---|---|---|---|
クロック周期 | T_clk | クロック信号の1周期 | 基準時間、最大動作周波数決定 | 1ns〜10ns |
セットアップ時間 | T_setup | クロック前のデータ安定時間 | セットアップ制約計算 | 10ps〜200ps |
ホールド時間 | T_hold | クロック後のデータ保持時間 | ホールド制約計算 | 0ps〜50ps |
クロック・ツー・アウト遅延 | T_cq | クロックエッジから出力変化まで | クリティカルパス計算 | 20ps〜300ps |
伝搬遅延 | T_pd | 組み合わせ回路の入出力遅延 | タイミング解析 | 10ps〜数ns |
汚染遅延 | T_cd | 最小伝搬遅延 | ホールド制約計算 | 5ps〜100ps |
クロックスキュー | T_skew | クロック到達時間差 | タイミングマージン計算 | ±10ps〜±100ps |
クロックジッタ | T_jitter | クロック位置のばらつき | タイミングマージン計算 | 1ps〜50ps |
ディジタル回路設計において、これらの遅延時間の理解と適切な制約設定は、回路の信頼性と性能を決定する重要な要素です。特に高速動作が要求される現代の回路では、ピコ秒レベルでの精密なタイミング設計が必要となります。
これらの遅延時間を体系的に理解し、適切に管理することで、高性能かつ信頼性の高いディジタル回路を設計することができます。常にPVT変動と設計マージンを考慮し、実用的で堅牢な回路設計を心がけることが重要です。