🔧 FM回路設計
変調・復調回路を図解で理解しよう - 実用的な回路設計の基礎
🎯 このページで学べること
✅ FM変調器の基本回路構成
✅ VCO(電圧制御発振器)の動作原理
✅ FM復調器の種類と特徴
✅ PLL(位相同期ループ)回路
✅ 実用回路の設計のコツ
1. 🏗️ FM変調器の基本構成
FM変調器のブロック図
⚡
VCO(電圧制御発振器)
入力電圧に応じて発振周波数が変化する回路。FM変調の心臓部です。
📶
増幅器
VCOからの信号を適切なレベルまで増幅し、送信に必要な電力を確保します。
🔍
バンドパスフィルタ
必要な周波数成分のみを通過させ、不要な高調波成分を除去します。
2. 🎛️ VCO(電圧制御発振器)の詳細
🎚️ VCOを音楽機器で理解
シンセサイザーのピッチベンド機能のように:
- ホイールを上に: 音程が高くなる → 電圧が高い → 周波数上昇
- ホイールを下に: 音程が低くなる → 電圧が低い → 周波数下降
- 真ん中: 基準の音程 → 基準電圧 → 搬送波周波数
VCOの特性グラフ
特性: 制御電圧に比例して出力周波数が変化
式: $f_{out} = f_c + k_f \cdot V_c$
$k_f$: VCOの感度 (Hz/V)
LC発振回路
バラクタダイオードの容量変化を利用。逆バイアス電圧で容量が変化し、共振周波数が変わります。
水晶発振器
高精度だが周波数変化幅が小さい。精密な周波数制御が必要な用途に使用。
RC発振器
簡単な構成で広い周波数範囲をカバー。IC化しやすく、一般的な用途に適している。
3. 📻 FM復調器の種類と原理
📚 復調の基本概念
FM復調とは、周波数の変化を元の情報信号(電圧の変化)に戻すこと。
「周波数→電圧変換器」と考えると理解しやすいです。
3.1 🔄 スロープ検波器
スロープ検波の原理
🎸 ギターアンプの音量調整で理解
ギターアンプの音量つまみの特性:
- つまみ位置5: 普通の音量(中心周波数)
- つまみ位置4: 少し小さい音量(周波数低下→振幅低下)
- つまみ位置6: 少し大きい音量(周波数上昇→振幅上昇)
この「位置→音量」の変化を利用してFMを復調!
3.2 🔁 比率検波器
比率検波器のブロック図
✨ 比率検波器の利点
- 振幅制限効果: 雑音の影響を受けにくい
- 高感度: 微弱なFM信号も復調可能
- 直線性: 歪みの少ない復調が可能
3.3 🔄 PLL復調器
PLL (Phase Locked Loop) 復調器
🎯 PLLを自動車のクルーズコントロールで理解
自動車の一定速度制御システム:
- 目標: 時速100km(目標周波数)
- 現実: 実際の速度(VCO周波数)
- 比較: 目標と実際の差を検出(位相比較器)
- 制御: アクセル調整(VCO制御電圧)
- 結果: 速度が目標に追従(周波数同期)
4. 🎛️ 実用的な設計のポイント
🎯
周波数安定度
温度変化、電源変動に対する安定性。水晶発振器や温度補償回路を使用。
📊
歪み率
変調特性の直線性が重要。VCOの感度ばらつきを考慮した設計。
🔇
雑音指数
受信感度に直結。低雑音アンプの配置と電源デカップリング。
⚡
消費電力
バッテリー駆動機器では重要。効率的なバイアス設計。
5. 📋 FM回路設計チェックリスト
仕様決定
送信周波数、変調指数、出力電力、歪み率、雑音指数を決定
VCO設計
発振方式選択、感度設定、温度特性、位相雑音の検討
変調部設計
プリエンファシス回路、変調度制限、過変調防止回路
増幅部設計
線形性、効率、高調波歪み、帯域外輻射の抑制
フィルタ設計
送信フィルタ、受信フィルタ、IF(中間周波数)フィルタ
復調部設計
復調方式選択、ディエンファシス回路、AFC(自動周波数制御)
6. 🔬 測定と調整
測定項目シミュレータ
7. 🎯 実際の設計例:FMラジオ受信機
8. 🎊 まとめ
📝 FM回路設計の重要ポイント
🔧 変調器設計
- VCOの直線性確保
- プリエンファシス回路
- 過変調防止機構
📻 復調器設計
- 復調方式の選択
- ディエンファシス回路
- AFC回路の実装
🎉 FM回路設計完全マスター!
VCOから復調器まで、FM回路の設計原理を理解できました!
次は実際の応用例でFMの活用方法を学びましょう 📱