⚡ AM電力解析完全ガイド
単位を落とさないための電力計算マスター - 基礎から応用まで図解で完全理解
🎯 このページで学べること
✅ 電力って何?なぜ重要?
✅ AM・DSB・SSB・VSBの電力計算
✅ 効率の計算方法と物理的意味
✅ 実際の回路での電力配分
✅ 試験に出る電力問題の解き方
1. 🔋 電力の基礎 - 中学生でもわかる説明
🏠 電力を家の電気で考えよう
電力(Power)は「1秒間にどれだけエネルギーを使うか」を表します:
- 電球: 60W = 1秒間に60ジュールのエネルギーを消費
- エアコン: 1000W = 1秒間に1000ジュールのエネルギーを消費
- AM送信機: 1000W = 1秒間に1000ジュールの電波を送出
⚡ 電力の視覚化デモ
2. 📊 AM変調における電力配分
🎂 AM信号の電力をケーキで例えると...
AM信号の電力は3つの成分に分かれます:
- 搬送波電力: ケーキの台(一番大きい部分)
- 上側波帯電力: 上のクリーム(情報が入っている)
- 下側波帯電力: 下のクリーム(同じ情報が入っている)
📝 AM信号の電力導出
AM信号の基本形
$$s(t) = A_c[1 + m \cos(\omega_m t)] \cos(\omega_c t)$$
ここで、$A_c$: 搬送波振幅、$m$: 変調度、$\omega_m$: 信号角周波数、$\omega_c$: 搬送波角周波数
三角関数の積を展開
$$s(t) = A_c \cos(\omega_c t) + \frac{mA_c}{2}[\cos(\omega_c + \omega_m)t + \cos(\omega_c - \omega_m)t]$$
解説: $\cos A \cos B = \frac{1}{2}[\cos(A+B) + \cos(A-B)]$ の公式を使用
電力の計算
電力は振幅の2乗に比例するので:
- 搬送波電力:$P_c = \frac{A_c^2}{2R}$
- 上側波帯電力:$P_{USB} = \frac{(mA_c/2)^2}{2R} = \frac{m^2A_c^2}{8R}$
- 下側波帯電力:$P_{LSB} = \frac{(mA_c/2)^2}{2R} = \frac{m^2A_c^2}{8R}$
総電力
$$P_{total} = P_c + P_{USB} + P_{LSB} = \frac{A_c^2}{2R}(1 + \frac{m^2}{4} + \frac{m^2}{4}) = \frac{A_c^2}{2R}(1 + \frac{m^2}{2})$$
3. 🎯 変調効率の導出と意味
⚠️ 効率が悪い理由
AM変調では、情報を運ぶ側波帯の電力が全体の電力に比べて非常に小さいのが問題です!
変調効率の定義:
$$\eta = \frac{\text{情報を運ぶ電力}}{\text{総電力}} = \frac{P_{USB} + P_{LSB}}{P_{total}}$$
効率の計算
$$\eta = \frac{\frac{m^2A_c^2}{4R}}{\frac{A_c^2}{2R}(1 + \frac{m^2}{2})} = \frac{m^2/2}{1 + m^2/2} = \frac{m^2}{2 + m^2}$$
最大効率(m = 1のとき)
$$\eta_{max} = \frac{1^2}{2 + 1^2} = \frac{1}{3} = 33.33\%$$
衝撃の事実: AMは最高でも33%の効率しかない!残り67%は搬送波として無駄になります。
4. 📈 各変調方式の電力比較
📻 AM変調
$$P_{total} = \frac{A_c^2}{2R}(1 + \frac{m^2}{2})$$
$$\eta = \frac{m^2}{2 + m^2}$$
最大効率:33%
搬送波が電力を大量消費
📡 DSB変調
$$P_{total} = \frac{m^2A_c^2}{4R}$$
$$\eta = 100\%$$
最大効率:100%
搬送波なし、側波帯のみ
🔄 SSB変調
$$P_{total} = \frac{m^2A_c^2}{8R}$$
$$\eta = 100\%$$
最大効率:100%
必要最小限の電力で情報伝送
⚡ VSB変調
$$P_{total} \approx \frac{m^2A_c^2}{6R}$$
$$\eta \approx 80\%$$
効率:約80%
実用性と効率のバランス
5. 🧮 電力計算の実践例
📊 電力配分の視覚化
搬送波電力: 50%
側波帯電力: 32%
変調効率: 25.6%
6. 📝 試験対策:よく出る電力問題
典型問題1:「変調度m=0.8のAM信号の効率を求めよ」
解答手順:
① 効率の公式を覚える:$\eta = \frac{m^2}{2 + m^2}$
② 数値を代入:$\eta = \frac{0.8^2}{2 + 0.8^2} = \frac{0.64}{2.64} = 0.242$
③ パーセント表示:$\eta = 24.2\%$
典型問題2:「搬送波電力100W、変調度0.9のとき総電力は?」
解答手順:
① 総電力の公式:$P_{total} = P_c(1 + \frac{m^2}{2})$
② 数値代入:$P_{total} = 100(1 + \frac{0.9^2}{2}) = 100(1 + 0.405) = 140.5W$
典型問題3:「DSBとSSBの電力比較」
解答のポイント:
① DSB: 両側波帯あり → 電力は側波帯のみ
② SSB: 片側波帯のみ → DSBの半分の電力で同じ情報量
③ 効率はどちらも100%(搬送波なし)
7. 📊 電力効率比較表
変調方式 |
総電力 |
情報電力 |
効率 |
帯域幅 |
実用性 |
AM |
$P_c(1 + \frac{m^2}{2})$ |
$P_c \frac{m^2}{2}$ |
最大33% |
2fm |
簡単 |
DSB |
$P_c \frac{m^2}{2}$ |
$P_c \frac{m^2}{2}$ |
100% |
2fm |
中程度 |
SSB |
$P_c \frac{m^2}{4}$ |
$P_c \frac{m^2}{4}$ |
100% |
fm |
困難 |
VSB |
$P_c \frac{1.25m^2}{4}$ |
$P_c m^2$ |
約80% |
1.25fm |
良好 |
8. 🎊 まとめ:電力計算のポイント
🎓 試験のコツ:
- 変調度mと効率の関係を図でイメージする
- AM = 搬送波が電力の無駄、DSB/SSB = 効率100%
- 単位に注意:W, dB, %の変換を練習
- 公式暗記より、物理的意味を理解する
⚡ AM電力解析完全マスター!
これでAM変調の電力計算は完璧です!
効率の概念から実際の計算まで、試験も実務も安心です 💪